レパトア解析 FAQ
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基本情報
- レパトアとは何ですか?
- 主要な免疫細胞であるT細胞やB細胞は、多様な抗原に反応できるように、個々に異なる特異性を持つT細胞受容体(TCR)やB細胞受容体(BCR)を細胞表面に発現しています。このTCRやBCRによって特徴づけられるリンパ球の集団をTCRレパトア、BCRレパトアといいます。レパトアは、もともとはレパートリーと同義のフランス語です。
- レパトアはどのように造られますか?
- 免疫システムは、多様な抗原に反応できるように、遺伝子再構成や体細胞超突然変異という機構によって、多様なTCRやBCRを創出する仕組みを持っており、それらの機構を通してレパトアが造られます。遺伝子再構成は、主にリンパ組織(胸腺ではT細胞、骨髄ではB細胞)で起きます。
- レパトアの規模はどのくらいですか?
- TCRでは10の18乗、BCRでは10の14乗におよぶと推測されています。
- T細胞受容体とは?
- T細胞受容体(TCR)は、T細胞の細胞膜上に発現しているヘテロダイマーの抗原受容体分子です。主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原分子を認識します。細胞性免疫の主要な要素となります。
- B細胞受容体とは?
- B細胞受容体(BCR)、その分泌蛋白(抗体)は、B細胞に存在する分子で、抗原と結合して中和反応を起こします。軽鎖と重鎖から成り立ち、さらに重鎖の定常領域のクラススイッチによって機能が異なります。液性免疫の主要な要素となります。
- TCRの種類を教えてください。
- TCRα鎖、β鎖、γ鎖、δ鎖の4種類があり、α鎖とβ鎖、γ鎖とδ鎖がヘテロダイマーの形で細胞上に発現します。
- BCRの種類を教えてください。
- 重鎖として、BCR μ鎖(IgM)、γ鎖(IgG)、α鎖(IgA)、δ鎖(IgD)、ε鎖(IgE)、軽鎖として、BCR κ鎖(IgK)、λ鎖(IgL)があります。軽鎖と重鎖がそれぞれ2量体で結合した状態で細胞上に発現もしくは分泌されます。TCRと鎖の名称を混同しやすいため、IgGなどの表記を優先しています。
- V, J, C遺伝子について教えてください。
- TCRおよびBCRの構成遺伝子で、ゲノム上では多数のV (variable)、D (diversity)、J (joining)およびC (constant) の遺伝子断片からなります。細胞の分化、成熟の過程で遺伝子再構成が行なわれ、これらの遺伝子の組み合わせによって大きな多様性が生み出されます。
- CDR3とは?
- 相補性決定領域3のことです。TCRでは抗原ペプチド、またBCRでは抗原と直接結合する領域で、V遺伝子とJ遺伝子のつなぎ目に位置します。遺伝子再構成によるランダムな塩基の挿入や欠失によって大きな多様性を持つことが知られています。
解析技術
- レパトア解析とは何ですか?
- レパトア解析とは、TCRやBCRなどの多様性をもつ対象に対して、検体の中に含まれるその種類を解析することを指します。初期のレパトア解析は、TCRβ鎖V領域蛋白に対するモノクローナル抗体を用いたFACS解析であり、限定された範囲の評価に留まりました。近年では解析技術が進化し、次世代シーケンサーを用いた遺伝子レベルでの解析が可能となりました。そのためTCRやBCR遺伝子の構成要素であるV、J、C領域遺伝子などの判定だけでなく、CDR3のアミノ酸配列まで同定することができるようになりました。
- 何を解析対象とするのですか?
- 当社のレパトア解析では、T細胞受容体(TCR)に関してはα、β、γ、δ鎖の4種類、B細胞受容体(BCR)に関しては、重鎖の5種類(μ(IgM)、γ(IgG)、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE))、軽鎖の2種類(λ(IgL)、κ(IgK))を解析対象としています。
- Adaptor-Ligation PCR(AL-PCR)について教えてください。
- 次世代シーケンサーを用いたレパトア解析では、解析対象をPCRによって増幅する必要があります。また検体に含まれるTCRやBCR遺伝子の分布を崩さないように増幅する必要があります。しかし多様性をもつ遺伝子を、均一にPCRで増幅することはそのままでは難しいです。そこで考えられたのが、多様性を持つ配列の外側に、人工的な塩基配列であるアダプターを結合させ、PCRを行う方法、Adaptor-Ligation PCRです。詳しくは技術紹介のページをご確認ください。
- ほかの技術と比較して優位性はありますか?
-
当社のAL-PCRの優位性は、PCRによる増幅でバイアスが発生しないことです。これは従来実施されてきたFACS解析と結果が相関します。また検体にtotal RNAを用いることで、スプライシング後のTCRやBCR遺伝子に対して、全長に渡り配列決定できることです。
一方、次世代シーケンサーを用いたレパトア解析には、gDNAを主な対象としたMultiplex PCRという技術があります。これは多様性を持つ遺伝子に対して40種類を超える多様なプライマーセットを用いることで増幅を行います。
そのためバイアスが発生し、FACS解析と比較して相関しない結果が含まれます。またスプライシングを受ける前の配列を解析するため、定常領域(C領域)の判定を行うことができません。さらにBCRレパトアでは、抗体の成熟に重要な役割を果たす体細胞超突然変異が発生し、V遺伝子やJ遺伝子の配列が変化することが知られています。そのため設計されたプライマーがミスハイブリを起こし増幅不良を起こすことが想定されます。AL-PCRでは、多様性を持つ配列の外側からPCRを実施するため、そのような問題は発生しません。
- フローサイトメトリー(FACS)法と比較して何が違いますか?
-
FACSを用いたレパトア解析は、ヒトTCRβ鎖V領域に対する抗体パネルのみ存在しますが、すべてのV遺伝子数に対して7割程度のカバーに留まります。また多くの細胞を必要とするため、血液や培養細胞からの解析に限定されます。
当社のレパトア解析では、検体から抽出したTotal RNAを用いますので、組織検体を含め、多様な試料から解析が可能です。
網羅性につきましては、非バイアス増幅を行い、次世代シーケンサーを用いて大規模に塩基配列を取得するため、すべてのV遺伝子、J遺伝子などを識別、集計することが可能です。
また非バイアス増幅であるため、FACS解析の結果と相関するため、目的に応じてFACSによるレパトア解析を実施されている先生方でも安心してご利用いただけます。
- 使用しているシーケンサーについて教えてください。
- イルミナ社のMiseqを使用します。
- シーケンスデータの解析はどのように行いますか?
-
シーケンス完了後、当社で独自に開発しましたレパトア解析ソフト(Repertoire Genesis)を用いて自動的に解析します。シーケンスで得られたリードごとに、V遺伝子、J遺伝子のデータベースと相同性検索を行い、さらにCDR3領域のアミノ酸配列を特定します。共通する組み合わせをもつリードを集計し、検体に含まれる上位のクローンを特定します。またV遺伝子、J遺伝子でクロス集計した3Dグラフも生成できます。
なお、次世代シーケンス解析が普及する前に実施されてきたCDR3サイズスペクトラタイピングを用いたクローナリティー解析について、現在はCDR3アミノ酸配列が同定されていますので、擬似的にデジタルCDR3スペクトラタイピングとして再現することが可能です。
- TCRV鎖遺伝子名がよくわかりません。
- 複数のTCRV鎖の命名法があり、それぞれ順番が異なります。IMGTによる比較表をご確認ください。以前はFACS解析用の抗体などで使用される「Vβ、TCRBV」などの表記(Arden分類)が用いられてきましたが、現在ではゲノム上の遺伝子の位置にもとづいて付番されたIMGT分類(TRBVと表記)が主流となっており、当社でもその分類にもとづいて表記しています。
- 解析ソフトはオリジナルですか?
- 次世代シーケンサーから出力されたデータを全自動で高速かつ高精度に処理するためにレパトア解析専用プログラム(Repertoire Genesis)を独自に開発しています。
解析依頼について
- どのような検体が解析可能ですか?
- TCRレパトア解析ではT細胞が含まれている、またBCRレパトア解析ではB細胞が含まれているうえで、Total RNAが分解していないことが条件となります。RNAは非常に分解しやすいため、細胞が生きている状態か、RNA安定化試薬に浸漬もしくは溶解している必要があります。血液、組織、培養細胞、ソート細胞など、それぞれの取扱いについてまとめた検体準備マニュアルがありますので、詳細はこちらをご確認ください。
- 検体の量はどのくらい必要ですか?
- レパトア解析は、検体中に解析対象となるリンパ球が含まれることが前提となります。健常者の全血であれば5mL(末梢血単核球細胞として5×10の6乗個)、組織であれば100mg程度が一般的ですが、リンパ組織でない部位(皮膚組織など)では、検体量を増やす必要があります。また特定の細胞をCD4やCD8などでソートした場合は、10の4~5乗個程度でも解析することが可能です。解析目的や検体採取量についてご相談いただけましたら、個別に適切な方法をお伝えいたします。
- 自分で抽出したRNAでレパトア解析ができますか?
- 可能ですが、レパトア解析を始める前に、当社でアジレント社のTapeStationを用いて品質チェックをさせていただきます。RINe値が極端に低い場合(1~5)には、良好な結果が得られない恐れがありますので、レパトア解析を実施する前にご相談させていただきます。中止される場合につきましては、品質チェックにかかった費用をご請求させていただきます。
- ゲノムDNAでレパトア解析はできますか?
- 当社のレパトア解析はtotal RNAを材料とした解析になります。ゲノムDNAからの解析は行っておりません。
- 解析する組織の保管方法を教えてください。
- RNA安定化試薬(RNA later)に浸漬させた状態で保管することをお勧めします。保存および送付方法の詳細については当社担当者へお問い合わせください。
- 検体は返却してもらえますか?
- お預かりした検体は、当社で納品日から1ヶ月保管した後に、原則廃棄いたします。返却をご希望の場合は、別途ご相談ください。
- 検体はどのように送付すればいいですか?
- 検体の種類により保存・送付方法が異なりますので、詳細については当社担当者へお問い合わせください。
- 納期はどのくらいですか?
- 通常1~2か月程度で納品させていただいています。納期の目安は、検体をお受けした時点で解析スケジュールを組ませていただきお伝えしますが、解析機器の混雑状況に応じて変動いたします。学会や論文などの締め切りがあるなど、お急ぎになられる先生方につきましては、別途ご相談ください。
- シーケンサーを占有で解析依頼はできますか?
- 次世代シーケンサーでは大量の情報を得ることができるため、あらかじめ識別配列(index配列)を付加した複数検体を混合して、シーケンスを実施いたします。そのため、注文検体数が1回のランに相当する数に満たない場合は、複数のお客さまの検体をまとめて解析させていただきます。占有で解析されたい先生方は、その旨お伝えください。別途お見積りさせていただきます。
解析結果の評価
- リード数はどのくらいあればよいですか?
- レパトア解析は、検体に含まれる多様性の規模に応じて結果が変化するため、シーケンスで得られるリード数に依存するものではありません。当社では通常1検体あたり10万~15万リードを目標にシーケンスランを実施し、自社開発のレパトア解析ソフトを用いて結果を集計します。この際、検体の性質(RNA中に含まれる対象遺伝子の存在量、合成時のRNAの品質や濃度)によって集計される判定可能なリード数が異なります。また、多様性が少ないことが想定される検体(クローン細胞)では、1,000リード程度で十分な結果が得られます。一方、多様性が大きいことが予測される検体や微小残存病変の検出などでは、その検討に応じたシーケンスリード数を確保する必要があります。解析精度を担保するために通常よりもリード数を多くシーケンスすることを希望される場合には事前にご相談ください。
- 解析結果の見方ついて教えてください。
- 納品される解析結果には、シーケンスサマリーに加え、その検体におけるレパトアの多様性指数、V遺伝子やJ遺伝子の分布(2Dグラフ、両方を併せた3Dグラフ)、特定の組み合わせ(V遺伝子、J遺伝子、CDR3アミノ酸配列)を持つリード(ユニークリード)の頻度集計結果(ランキング表)が含まれます。これらの要素を軸に、検体間や群単位、時系列で比較解析することで、レパトアの変化を追うことができます。ご希望やご不明な点がありましたら当社までご相談ください。
- 3Dグラフではピークが高いがランキングで上位にいない理由は何ですか?
- VJ遺伝子の3Dグラフは、同じVJ遺伝子の組合せを持つ遺伝子の頻度を示しています。同じVJ遺伝子の組合せでも、CDR3配列が異なる遺伝子が含まれていますので、3Dグラフでの高いピークが、必ずしもクローンの存在を示しているとは限りません。クローナリティを評価する場合は、多様性指数もしくはランキングの結果をご確認ください。
- どのようなデータを返してくれますか?
- 納品データは、元データであるシーケンスデータ(Fastq)、レパトア解析ソフトによる出力データとして検体別のExcelレポートファイル、それらを1ファイルにまとめた報告書ファイル(PDF)、検体間のクローンの比較解析を容易にするcloneファイル、検体間の多様性指数をまとめたstatファイルから構成されます。検体数に応じて納品形式はDVDメディア、USBメモリ、HDDの形態となります。また納品物として、1ファイルにまとめた報告書の印刷物が同封されます。
- オプションではどのような解析が可能ですか?
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実験レベルのオプションサービスでは、RNA抽出されたレパトア解析検体の残りを用いた免疫関連遺伝子の発現解析(qPCR)、レパトア解析で得られた配列データを用いた遺伝子導入実験などがあります。ご希望をお伝えください。
データ解析などの2次解析サービスとしまして、1次解析結果を踏まえた検体間比較、論文作成支援(無償と有償)、特定クローンの全長配列予測解析など、レパトア解析をより充実させるサービスを展開しています。
- 検体間での比較はどのように行えばよいですか?
- 「解析結果の見方」に共通しますが、比較する検体間で2Dあるいは3Dグラフの使用頻度を比較することができます。ランキングデータを利用する場合は、関心のあるクローンのCDR3配列を用いて、目的の検体の全配列に対して検索をかけると効率的かと思います。ご不明な点は当社にご相談ください。
ネオエピトープ解析 FAQ
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基本情報
- ネオエピトープとは何ですか?
- 生体は体内に侵入もしくは発生した異物を排除する免疫学的機構が存在しています。異物を特異的に排除するため、T細胞はその異物に特有の部分として抗原決定基(エピトープ)を見つけ出します。がん細胞は元々は自己の細胞ですが、ゲノム配列に変異が発生したため表現型に異常をきたしたことで、異物として認識される機会が発生します。このようにがん細胞で新しく(ネオ)発生した抗原決定基(エピトープ)をネオエピトープと呼びます。
解析技術
- ネオエピトープ解析とは何ですか?
- ネオエピトープ解析とは、がん細胞に発生したゲノムDNAの変異と、その変異部位が免疫細胞へ抗原提示される可能性を解析し、絞り込むことです。
- 何を解析対象とするのですか?
- がん細胞のゲノム配列の変異を解析するために、Exome-seqを実施します。さらに機能的に発現していることを確認するため、RNA-seqを実施します。これらは個人ごとにSNPが含まれることや、発現量の増減で比較対象を置く必要があるため、正常組織についても同様に実施します。変異部位がペプチドレベルで自己の免疫細胞から抗原性を示す可能性を確認するため、白血球抗原(HLA)のプロタイプを確定し、バイオインフォマティクス上でその結合率を算出し、最終的に絞り込まれた変異ペプチドがネオエピトープの候補となります。
- ほかの技術と比較して優位性はありますか?
-
これまで実施されてきたがん細胞に対する抗原探索では、創薬の観点から万人に共通するものがピックアップされてきました。しかしながらそのようにして発見された分子の多くは、正常組織でもわずかに発現することが知られており、依然として自己免疫疾患に発展するようなリスクを伴っていました。
当社が実施するネオエピトープ解析は、正常細胞にはまったく存在しない、がん細胞の変異ペプチドに注目するため、副作用が起きる可能性を排除することができます。また同一疾患内で共通する変異ペプチドを探索することで、一見、個人ごとに異なる変異ペプチドが、HLAという軸をもって見ることで、共通性を見出せる可能性もあります。
- 解析ソフトはオリジナルですか?
- 次世代シーケンサーから出力されたデータを全自動で高速かつ高精度に処理するために、ネオエピトープ解析専用プログラムを独自に開発しています。
解析依頼について
- どのような検体が解析可能ですか?
- ヒトや動物におけるがん細胞(がん組織)と正常細胞(血液など)を検体として採取していただきます。完全なネオエピトープ解析を実施するためには、Total RNAとgDNAの両方が必要となります。
- 検体の量はどのくらい必要ですか?
- がん組織は100mg程度(大豆大程度)、血液は5mL程度が必要になります。Total RNAとgDNAを抽出するため、組織はRNAlater、抗凝固防止剤入りの真空採血管が望ましいです。
- 自分で抽出したDNA・RNAで解析はできますか?
- 可能ですが、ネオエピトープ解析を始める前に、当社にてTapestationおよびnano dropにて品質チェックをさせていただきます。Total RNA、gDNAそれぞれが総量として3μg以上必要となります。量が少ない場合は良好な結果が得られない恐れがありますので、実施前にご相談させていただきます。中止される場合につきましては、品質チェックにかかった費用をご請求させていただきます。
- 解析する組織や血液の保管方法を教えてください。
- がん組織については、採取後ただちにRNAlaterに浸漬し、Total RNAを安定化してください。正常組織として採取する血液は、いくつか方法があります。実験設備を保持していて、検体の前処理が可能な場合は、PBMCを分離のうえTrizolに溶解する方法が望ましいです。全血のままTrizolに溶解することも可能ですが、血液の状態によっては溶解不良を起こすことがあります。全血からのgDNA抽出は冷凍された血液からも可能ですが、Total RNAにつきましては一度血液を凍結しますと著しく品質が低下しますので、RNA抽出専用のPaxgene 真空採血管をお使いください。前処理が一切できない施設の場合は、抗凝固防止剤入りの真空採血管を採血の当日に当社までただちに室温にて発送してください。当社にて抽出作業を実施いたします。実際に検体採取を始める前に当社まで一度ご連絡ください。
- 検体は返却してもらえますか?
- お預かりした検体は、当社で納品日から1ヶ月保管した後に、原則廃棄いたします。返却をご希望の場合は、別途ご相談ください。
- 検体はどのように送付すればいいですか?
- RNAlater、Trizol、凍結血液(gDNA抽出用)、Paxgeneは冷凍便にて当社まで発送するようにしてください。抗凝固防止剤入りの真空採血管で採血された血液は、当日に当社までただちに室温にて発送してください。
- 納期はどのくらいですか?
- 通常2か月程度で納品させていただいています。納期の目安は、検体をお受けした時点で解析スケジュールを組ませていただきお伝えしますが、解析機器の混雑状況に応じて変動いたします。学会や論文などの締め切りがあるなど、お急ぎになられる先生方につきましては、別途ご相談ください。
- シーケンサーを占有で解析依頼はできますか?
- 次世代シーケンサーでは大量のリードを得ることができるため、あらかじめ識別配列(index配列)を付加した複数検体を混合して、シーケンスを実施いたします。そのため、注文検体数が1回のランに相当する数に満たない場合は、基本的に乗合いとさせていただきます。
解析結果の評価
- リード数はどのくらい読みますか?
- Exome-seqおよびRNA-seqともに、変異ペプチドを明確に判定できるよう、10Gbp以上を目標としてシーケンス解析を行います。複数検体をまとめてシーケンス解析するため、リード数の指定はできません。
- 解析結果の見方を教えてください。
- ネオエピトープ解析結果の報告書には、ご提供いただいた依頼者情報、検体情報などに加え、検体別に同定された変異ペプチド、結合可能なHLAの型、発現量を示すFPKM値、分子間結合力を示すIC50値から構成されるネオエピトープのランキング一覧が含まれます。
- どのようなデータを返してくれますか?
- Exome-seqおよびRNA-seqで得られたFastqデータ、ネオエピトープ解析ソフトで得られた変異ペプチドを含むランキングデータをお返しいたします。
- オプションではどのような解析が可能ですか?
- Exome-seqおよびRNA-seqで得られたFastqデータを元にしたIndel、Long Indel、Splicing variantなど解析も承ります。それ以外にもご要望がありましたらお問い合わせください。
- 検体間比較はどのように行えばよいですか?
- ネオエピトープ解析結果を見る軸としましては、HLA型、変異ペプチドが含まれる遺伝子、変異部位、その遺伝子の発現量、変異による分子間結合力の変化の程度になります。特定の疾患をネオエピトープ解析したうえで、上記内容を軸に評価することで、新たな発見を得る可能性があります。
菌叢解析 FAQ
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基本情報
- 菌叢(きんそう)とは何ですか?
- 自然界には多種多様な細菌が存在しています。それらの細菌はある環境下において単一の菌種で構成されることは少なく、多種多様な菌種から構成されています。たとえば糞便や口腔内、土壌や河川では、1,000種類以上もの細菌が一定の菌叢を構成し存在することが分かっています。そのような細菌の分布を菌叢と表現します。
解析技術
- 菌叢解析とは何ですか?
- 一定の環境内で構成される細菌の種類や分布を特定する解析方法です。
- 何を解析対象とするのですか?
- 細菌の種類や分布を網羅的にかつ効率的に解析する方法として、サンプリングした試料から細菌のゲノムDNAを抽出し、菌種に関わらずに固有の配列が保存されている16S rRNA遺伝子の配列解析を実施し、菌種間の多少の配列の違いを基にして細菌叢を明らかにしています。
- 16S rRNAのどの領域を解析していますか?
- 当社では、V1-V2またはV3-V4領域をターゲットとして解析しています。
- ほかの技術と比較して優位性はありますか?
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生の細菌を複数の選択培地で培養し、その増殖の有無から菌種を同定する方法、PCR増幅後に制限酵素で切断した後に電気泳動で得られるバンドのパターンで菌種を予測する方法、希釈培養しコロニーを得てから個別にキャピラリーシーケンサーを用いて塩基配列解析する方法となりますが、どれも菌叢解析を実施するうえで規模や判定に制限がありました。
現在ではひとつの環境に含まれる細菌からまとめてgDNAを抽出し、16S rRNA配列を増幅、次世代シーケンサーを用いて網羅的に大量のシーケンスデータを取得する方法が主流となりました。そのため従来とは異なり、バイオインフォマティクス(計算科学)の知識と整備が必要となりました。
当社では菌叢解析に必要なすべての実験機器およびデータ解析サーバーを用意しています(サービス名としてはフローラ・ジェネシス(Flora Genesis))ので、先生方は検体をご提出していただくだけで、最新の解析をご利用いただくことが可能です。
- メタゲノム解析とは何が違いますか?
- いわゆるメタゲノム解析は次世代シーケンサーを用いて検体中に存在する全ての細菌ゲノムを一度に解析する方法です。得られる情報は非常に多いですが、1検体あたりのシーケンサー占有量が増えますのでコストが高くなります。16S rRNA菌叢解析も広義の意味ではメタゲノム解析の一部ですが、部分的な遺伝子のシーケンス解析にとどまるため、一回の次世代シーケンス解析に、複数の検体を載せることが可能となり、そのぶんコストは安価となります。対象とされる研究によって使い分ける必要があります。
- 使用しているシーケンサーについて教えてください。
- イルミナ社のMiseqを使用します。
- 解析ソフトはオリジナルですか?
- 次世代シーケンサーから出力されたデータを全自動で高速かつ高精度に処理するために菌叢解析専用プログラム(Flora Genesis)を独自に開発しています。
解析依頼について
- どのような検体が解析可能ですか?
- 細菌が含まれる検体であれば基本的に可能です。糞便や唾液などが主要な検体となります。このほか、細菌感染したヒト、動物組織なども解析は可能ですが、宿主のgDNAが多く混在することで16S rRNA遺伝子の増幅不良を起こす場合がありますので事前にお問い合わせください。
- 検体の量はどのくらい必要ですか?
- 細菌が含まれる量によって異なります。糞便であれば100mg程度(大豆大程度)、唾液であれば500uL程度、そのほかは検体に応じて異なりますので、当社までご連絡ください。
- 自分で抽出したDNAで菌叢解析はできますか?
- 可能ですが、菌叢解析を始める前に、当社にてnano dropにて品質チェックをさせていただきます。濃度が極端に低い場合には、良好な結果が得られない恐れがありますので、実施前にご相談させていただきます。中止される場合につきましては、品質チェックにかかった費用をご請求させていただきます。
- 解析する検体の保管方法を教えてください。
- 菌叢検体は細菌の増殖によって分布が変わってしまうため、採取後なるべく早い段階で冷凍されることをお勧めいたします。また糞便の採取に専用の採取キットを用いた場合には、メーカーのプロトコールに従ってください。
- 検体は返却してもらえますか?
- お預かりした検体は、当社で納品日から1ヶ月保管した後に、原則廃棄いたします。返却をご希望の場合は、別途ご相談ください。
- 検体の調製、輸送方法は?
- 取扱いは上記の保管方法と同様になりますので、冷凍便にて当社まで発送するようにしてください。専用の採取キットを用いた場合には、メーカーのプロトコールに従ってください。
- 納期はどのくらいですか?
- 通常1~2か月程度で納品させていただいています。納期の目安は、検体をお受けした時点で解析スケジュールを組ませていただきお伝えしますが、解析機器の混雑状況に応じて変動いたします。学会や論文などの締め切りがあるなど、お急ぎになられる先生方につきましては、別途ご相談ください。
- シーケンサーを占有で解析依頼はできますか?
- 次世代シーケンサーでは大量のリードを得ることができるため、あらかじめ識別配列(index配列)を付加した複数検体を混合して、シーケンスを実施いたします。そのため、注文検体数が1回のランに相当する数に満たない場合は、基本的に乗合いとさせていただきます。占有で解析されたい先生方は、その旨お伝えください。別途お見積りさせていただきます。
解析結果の評価
- リード数はどのくらい読みますか?
- 5~10万リードを目標としてシーケンス解析を行います。複数検体をまとめてシーケンス解析するため、リード数の指定はできませんが、解析時にリード数を限定して実施することができます。
- 解析結果の見方を教えてください。
- 菌叢解析結果の報告書には、ご提供いただいた依頼者情報、検体情報などに加え、同定された最近の分布データ、ランキングデータなど個別の検体の菌叢データ、あるいは検体間の違いを解析した比較データなど詳細情報が記載されています。
- シーケンスデータの解析はどのように行いますか?
- シーケンス解析で得られたFastqデータを元にして、当社専用の菌叢解析ソフトにて系統樹解析、分布図、ランキングなどの一次解析を行います。
- どのようなデータを返してくれますか?
- 菌叢解析ソフトを用いた一次解析データ、シーケンスで得られたFastqデータをお返しいたします。オプションにて二次解析をご希望されたお客さまには、二次解析データもお戻しいたします。
- オプションではどのような解析が可能ですか?
- 多様性解析、主成分分析、多変量解析などが可能です。菌叢解析とあわせて臨床データや他の解析データ間で、関連が認められるかなどの複雑な解析を行うことにより、意義のあるデータを導き出すこともできます。
- 検体間比較はどのように行えばよいですか?
- 複数の検体をご依頼されました先生方には、分布図の表記を複数検体分並べたものでご提供いたします。またランキングデータを元にして細菌の種類別に%で比較されることもお勧めしています。これらは一次解析で行えるものですが、多変量解析などのより複雑な二次解析につきましては別途ご連絡ください。